先天性サイトメガロウイルス感染症とサイトメガロウイルスワクチンの話題

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無症候性先天性サイトメガロウイルス感染症は治療対象にならない

先天性サイトメガロウイルス感染症の診断をルーチンで行っても、
現状では現場が混乱する可能性が高い、
親も医療者側も判断に悩むことが多くなる、
と私が考える理由として、

 

 

無症候性先天性サイトメガロウイルス感染症は治療対象にならない

 

 

ということがあります。

 

 

厚生労働省研究班で作成した治療プロトコールを記載しておきます。

 

 

【対 象】
 症候性先天性CMV感染児で、以下のすべてを満たすこと。
 (1)治療開始時点で原則として生後30日以内
 (2)治療開始時点の体重が 1,200 g以上
 (3)治療開始時点での修正在胎週数32週以上
 除外項目:
 (1)VGCVの投与に関しては、薬物の吸収に支障をきたすような消化管障害の存在または既往
   (例えば壊死性腸炎)
 (2)クレアチニン >1.5 mg/mLまたはCCr(10 mL/min/1.73 m2)
 (3)VGCVまたはGCVによる治療の実施が困難となるような他の重症疾患を有する場合

 

注1)「症候性」には
・中枢神経系障害:(1)小頭症、(2)脳の画像異常、(3)脳脊髄液(CSF)検査値異常、
(4)脈絡網膜炎、(5)聴力障害、(6)CSFよりCMV-DNAを検出
・中枢神経系外障害:(1)血小板減少、(2)紫斑、(3)肝腫大、(4)脾腫、(5)子宮内発育遅滞、
(6)肝炎
を含む。

 

ただし、各項目の重症度からみた「症候性」の定義はまだ明確ではなく、
例えば「脳の画像異常」についてもどこまでを含むのかについてはコンセンサスが得られていない。

 

注2)治療開始時点で生後30日以内であることを明示しているが、
ここではあくまでも「原則」としており、主治医の判断でこの時期を過ぎても適応可能とした。

 

 

このように治療対象としているのは、あくまで
「症候性」先天性サイトメガロウイルス感染症の赤ちゃんなのです。

 

 

無症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の児は治療対象にはなりません。

 

 

これは合理的だと思います。
出生時全く症状がないのに、そのほとんどが正常発達していく可能性が高いのに、
難聴が進行してくる可能性を考慮して保険適応の無い、
つまり高額な治療費がかかる、さらには副作用もある薬剤を積極的に投与
していく理由があるのでしょうか?

 

 

ただ、現実的には現状のまま先天性サイトメガロウイルス感染症のスクリーニング検査が
行われる頻度が高くなれば、
「症状的には疑わしいものは無いんだけど、先天性サイトメガロウイルス感染症を否定できない」
赤ちゃんがたくさん診断されることになるでしょう。

 

 

現に、私もそういった症例を経験しています。

 

 

胎児診断するにしても、サイトメガロウイルスIgMからIgG Avidity検査までには、
検査をして先天性サイトメガロウイルス感染症を診断するうえでの
理想的な時間というのも限られているわけですから、
現行の検査の流れのチャートの中には、その検査を行うべき期限を
設けるべきです。最低限。

 

 

でなければ、出生後、赤ちゃんに全く症状も無くて、
「うーん、で結局検査すればいいのかな。症状が無いから治療対象にもならないし、
ほとんどが正常発達していくのに、敢えて検査する必要はあるのかな・・・」
といった葛藤が必ず生じてきます。

 

 

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